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元気学

第4回 健康寿命を延ばすウオーキングとは?

2016.10.31

~間違ったウオーキングが急増中~

歩くと足腰が痛くなるのは危険信号 間違ったウオーキングは百害あって一利なし

筋肉の7割近くは下半身にあります。健康寿命を延ばすには、いくつになっても自分の足でしっかりと立ち、歩くことが重要です。40代ぐらいから、意識して足腰を鍛えましょう。

足腰を鍛えるのにウオーキングは最適の運動ですが、ただ歩けばいいというものではありません。間違った歩き方をしていると、身体のどこかに負担がかかり、その部分にトラブルが起きてくるからです。

ウオーキング人気の裏で、間違った歩き方に気づかないままウオーキングを続け、足や腰を傷める人が増えています。歩いた後に疲れや痛みを感じたら危険信号。健康寿命を延ばすために始めたウオーキングで身体を壊すなどという本末転倒の事態を防ぐには、美しく歩くための準備が必要です。

レッグランジで美しく自然なフォームを身につけよう

歩くことは当たり前のようでいて、実は難しい動作です。足腰の筋力を使う、バランスをとる、適切な歩行スピードをキープするなど、さまざまな身体能力が求められるからです。

歩き方の癖がある人は決してめずらしくありません。靴底の減り方を見ればわかるので、自分の靴をチェックして癖を知り、美しい歩き方を身につけましょう。

美しいフォームで歩くポイントは「ひざが内側に入らない」「踏み出すときにひざとつま先が同じ方向を向く」の2つ。前者を身につけるトレーニングがすでにご紹介した「コーナースクワット」(第2回参照)で、後者を身につけるトレーニングが「レッグランジ」です。

「レッグランジ」とは「片足を踏み込んで力を入れる」というトレーニングのこと。ゆっくり行い、おしりに力を入れ、足裏全体に力が伝わるよう踏みしめる感覚を覚えてください。太ももの裏側のハムストリング筋に力を入れることも意識できると、より効果的です。

レッグランジとランジ歩き

ひざとつま先が同じ方向を向く感覚を身体に覚え込ませ、よい歩き方を身につけるためのトレーニングです。
ゆっくり行うことで効果が高まります。

 大きく振り出した左足をゆっくり下ろし、力いっぱい踏み出します。着地したら腰を軽く落とし、左足の上に両手を添え、身体をのせてレッグランジをします。

 右足を前に踏み出し、①と同じように着地します。①②を繰り返す、“ランジ歩き”をします。

【ポイント】ひざとつま先が同じ方向になるように、最初は両手でひざの向きを確認します。

昨日よりも今日たくさん歩く 無理をしないのが長続きの秘訣

ウオーキングをするなら「1日1万歩」とよくいわれます。確かに1万歩は1つの目標になりますが、無理は禁物。普段あまり歩いていない人は、生活の中で歩く機会を増やすことから始めましょう。

電車で帰ってくるとき1つ手前の駅で降りてみたり、歩いて買い物に行くとき少し遠回りしてみたり……。体操もそうですが、中高年の運動は「一度にたくさんやろうとしない」「疲れるまでやらない」のが長続きの秘訣です。

ウオーキングの時間について、連続して20分以上歩かないと効果が出ないなどといわれたこともありましたが、最近では5分を4回、10分を2回などと分けてもよいとされています。いつでも気軽にできるのがウオーキングのメリットですから、「歩けるときに、ちょこっと歩く」よう心がければいいのです。

昨日よりも今日、今日よりも明日、1歩でも多く歩く。健康寿命を延ばすウオーキングとは、美しいフォームで歩くことであり、決して無理をせず、毎日楽しく歩くことです。

筆者プロフィール

渡會公治(わたらい こうじ)

帝京平成大学大学院健康科学研究科教授
一般社団法人美立健康協会代表理事
整形外科専門医・日本体育協会スポーツドクター
帝京大学医学部整形外科客員教授(スポーツ外来)


1947年、静岡生まれ。1975年東京大学医学部を卒業後、整形外科医としてスポーツ医学を研修。

ロサンゼルス・オリンピックのチームドクターなどの体験を活かし、1988年より東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系身体運動研究室准教授。その後、スポーツ障害の治療法・予防手段を確立し、一流アスリートの競技力向上に努めた。

近年は、運動器障害に苦しむ患者を救う「ロコモ体操」を考案し、東大駒場キャンパス、三宿病院、港区いきいきプラザなどで指導。各方面で「正しい、そして上手なからだの使い方」についての講演、寄稿、啓発活動も展開している。

『美しく立つ―スポーツ医学が教える3つのA』(文光堂)、『新版 いますぐできるロコモ体操』(家の光協会)、『予約の取れないドクターシリーズ ロコトレ』(アスコム)など多数。

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