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元気学

第5回 美しく楽しく歩いて心の健康もアップ!

2016.12.06

~うつ病や認知症の予防にも役立つウオーキング~

脳も身体も元気に目覚めさせる毎朝のウオーキング

ウオーキングは、脳が筋肉に「歩け」という命令を出すことで始まります。そして、歩き出すと今度は各種の感覚器から脳に向かって、いろいろな情報が発信されます。このように脳と身体が刺激を与え合い、脳が活性化されることが、ウオーキングの隠れた効果。ウオーキングには足腰を鍛えるだけでなく、心の健康や認知機能を維持・向上し、うつ病や認知症を予防するという効果も期待できるのです。

心の健康のためには、朝日を浴びて歩くのがおすすめです。歩くことによって、幸福感や満足感、心のやすらぎをもたらすセロトニンが分泌されますが、特に朝の明るさの中で行うリズミカルなウオーキングがセロトニンの分泌を活性化するといわれているからです。

毎朝のウオーキングを習慣にすると、体内時計のリズムも整います。夜はよく眠れるように、朝は身体も脳もスッキリと目覚められるようになるでしょう。

足だけでちょこちょこ歩くと腰やひざの痛みの原因に!背骨を軸に脚を胸のあたりから大きく動かそう

年をとるにつれ足だけでちょこちょこ歩く人が増えてきますが、足だけで歩いていると、腰やひざへの負担が増し、それが痛みやけがの原因となります。これまでお話ししてきたように、ヒトの身体は背骨が軸であり、脚(下肢)も背骨から動くようにできているからです。

まず、脚はいわゆる“股”のところではなく、胸のあたりから始まっているというイメージを持ってください。実際、股関節を曲げるときに働く大腰筋は胸椎の奥、つまり胸から始まっています。

歩くときは、脚を股のところからではなく、胸のあたりから大きく前に出すイメージで踏み出しましょう。脚と一緒に背骨、骨盤を動かす意識を持つことも大切です。背骨を意識し、大きめの歩幅で颯爽と歩く。これがトレーニング効果を高め、見た目にも美しい歩き方のコツなのです。

「ワルツ歩き」で楽しく美しくリズミカルに歩く

といっても、いつも歩幅を大きくして歩くのは疲れるという人もいるでしょう。その場合は「ワルツ歩き」を。イチ、ニ、イチ、ニのリズムだと常に同じ側の脚で踏み出すことになるので、左右交互に大きく踏み出せるように、3拍子のワルツのリズムにのせ、3歩目を大股にして歩きます。

ワルツでなくても、自分の好きな歌でも何でもかまいません。ポイントは「リズミカルに楽しく歩く」こと。自然に歩くスピードが上がり、運動強度を無理なく高めることもできます。

歩きながら数を数えることは、身体を動かしながら脳を働かせる「デュアルタスク・トレーニング」になり、認知症予防にも効果的です。慣れてきたら、「3歩目に右、次の3歩目に左を見る」「3歩で息を吸い、次の3歩で吐く」など、タスクを加えてもいいでしょう。

周りの景色を楽しみながら歩くのも、家族や友達とおしゃべりしながら歩くのも、デュアルタスク・トレーニングです。せっかく歩くのに、ダラダラ歩くのはもったいない。100歳になっても元気に美しく歩くため、身体にも心にも刺激になる、自分にとって楽しい歩き方を見つけてください。

【ポイント】背筋を伸ばし、目線は遠くを見て歩きましょう。

筆者プロフィール

渡會公治(わたらい こうじ)

帝京平成大学大学院健康科学研究科教授
一般社団法人美立健康協会代表理事
整形外科専門医・日本体育協会スポーツドクター
帝京大学医学部整形外科客員教授(スポーツ外来)


1947年、静岡生まれ。1975年東京大学医学部を卒業後、整形外科医としてスポーツ医学を研修。

ロサンゼルス・オリンピックのチームドクターなどの体験を活かし、1988年より東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系身体運動研究室准教授。その後、スポーツ障害の治療法・予防手段を確立し、一流アスリートの競技力向上に努めた。

近年は、運動器障害に苦しむ患者を救う「ロコモ体操」を考案し、東大駒場キャンパス、三宿病院、港区いきいきプラザなどで指導。各方面で「正しい、そして上手なからだの使い方」についての講演、寄稿、啓発活動も展開している。

『美しく立つ―スポーツ医学が教える3つのA』(文光堂)、『新版 いますぐできるロコモ体操』(家の光協会)、『予約の取れないドクターシリーズ ロコトレ』(アスコム)など多数。

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