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【セミナーレポート(下)】100歳まで楽しく歩こう!~歩ける今がはじめどき!運動・食事で延ばす健康寿命~

2017.08.31

「サルコペニアを知ろう!」

2017年7月に開催した、よみうり健康セミナーの中で、来場された多くの方が興味を持たれた、楽々健脚講座の一部をご紹介いたします。

<講師>
吉村 芳弘 医師
日本サルコペニア・フレイル学会 理事
熊本リハビリテーション病院 副部長 医師
栄養管理部長

「サルコペニア」とは?

「サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)」は、世界における医学急上昇ワードで、非常に注目されている言葉です。世界中の研究者が「サルコペニア」に関する医学論文を発表していて、その数は近年右肩上がりに上昇しています。

この「サルコペニア」とは、ギリシャ語の「Sarco(筋肉)」と「Penia(減少)」が語源となっています。平均寿命が短かった以前は、筋肉が減少することはほとんど影響ありませんでしたが、寿命が延びることで「サルコペニア」が問題になってきました。「サルコペニア」になると、体の機能が衰え、転びやすくなり、様々な病気になって、こころの病にもつながってしまいます。原因として考えられるのは「加齢」「低活動」「低栄養」「病気」の4つです。

「サルコペニア」の原因

まずは「加齢」について、お話ししていきましょう。

人間は1年間に約1%の筋肉が落ちていくといわれています。いちばん筋肉があるのは30歳前後と言われており、プロスポーツ選手は30歳を超えるとしっかり筋トレをしなければ、パフォーマンスが落ちると言われています。10年経つと10%、50年経つと50%、筋量が減る可能性があり、そこに「低活動」が加わることで、筋量減少の速度が非常に速くなります。

究極の「低活動」は重力ゼロの状態です。椅子に座っていても重力に抗う筋肉を使っていますし、体を支えるためにも筋肉を使っています。入院して寝たきりになる、ベッドの上で安静にしている状態は、重力ゼロの状態と非常に近いんですね。さきほど、1年間に約1%の筋肉が落ちるという話をさせていただきましたが、宇宙では1日に約1%の筋量が落ちます。すなわち、地球上で活動している1年で落ちる量とほぼ同じ量の筋肉が1日で落ちてしまうのです。

宇宙飛行士は、週6日1日2時間のマシントレーニングをし、高エネルギー高たんぱくの宇宙食を食べて筋量低下を予防していると言われています。「サルコペニア」を予防するには、筋肉を使って栄養を摂ること。これはとても重要です。

筋肉と運動

簡単に「サルコペニア」の疑いがあるかをチェックするための方法をお伝えしましょう。それは「指輪っかテスト」と言います。自分の親指と人差し指で“輪っか”をつくり、ふくらはぎのいちばん太い部分に当ててみて、指で囲めない場合は「サルコペニア」の危険度は低く、逆に隙間ができる場合は危険度が高いといえます。

私が勤める熊本リハビリテーション病院では、「サルコペニア」対策として、集団起立訓練を行っています。椅子に座った状態から立ち上がり、再び座る動作をゆっくりと行うのですが、一度に120回繰り返します。下半身の筋肉は体全体の約7割を占めており、スクワット運動を15回するだけで、腹筋500回に相当すると言われていますので、この運動は非常に効果的といえます。

筋肉と食事

ところで、昨今、どの世代でもたんぱく質不足が問題になっています。さまざまなタイプのたんぱく質不足がありますが、筋肉をつくるためにたんぱく質は必要不可欠。必ず摂取しなければならない栄養のひとつです。脳卒中や心筋梗塞などの予防のためにはメタボ対策が必要ですが、65歳を超えた方は、体重が落ちないような食事を考えなければなりません。粗食である必要はなく、お肉やお魚、豆類などをしっかり食べて、たんぱく質をしっかりと摂取してください。とはいえ、「たくさん食べられない」という方もいらっしゃるかもしれません。そういった場合は、筋肉のたんぱく質を増やす働きがあるBCAA(分岐鎖アミノ酸)のひとつ「ロイシン」や、「ロイシン」が体内で代謝されてできる成分のサプリメントなどを活用し、効率良くたんぱく質を摂取することがおすすめです。
皆さんも日頃の生活の中で、栄養を摂ることと運動をすることを意識して過ごしてください。

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