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元気学

第2回 40代になったら習慣にしたい「3つのS」

2016.09.09

~健やかな高齢期のカギとなる柔軟性を高める~

どこも痛くない40代のうちにトレーニングを始め 美しい身体の使い方を身につける

40代になったら、ロコモやメタボの予防を意識して、毎日身体を動かす習慣づくりを。「どこも痛くないから大丈夫!」「老後の心配なんてまだ早い」という声が聞こえてきそうです。実際、40代の人の筋肉や骨は20~30代の人と比べて、それほど遜色はありません。

けれども、運動不足の人や、前回お話しした“間違った身体の使い方”をしている人は、40代ぐらいで、そのツケが腰やひざの痛みとなって現れ始めます。メタボや更年期症状が気になり始める時期でもあります。

何歳になってもトレーニングの効果は十分に期待できますが、高齢期に備えるには早めの対策が肝心。まだ痛みや故障の少ない40代から始めて、美しい身体の使い方を身につけておくと安心です。

 

トレーニングといっても、きついこと、難しいことをする必要はありません。基本は「3つのS」。スクワット、ストレッチ、背骨ほぐしです。

3つのS

Squat(スクワット)
立って活動するためのたくさんの筋肉を一度に鍛えることで、バランスと筋力を高めることができる

Stretching(ストレッチ)
柔軟性が高まることで可動域が広がるほか、血流を改善したり、神経機能を向上させる効果もある

Spine exercise(背骨ほぐし)
ヒトも脊椎動物。「背骨をほぐす」「背骨を使う」「背中から動かす」ことを意識できるようになると、立つ、歩く、座る、すべての姿が美しくなる

コーナースクワットで歩き方のチェック・矯正を

コーナースクワット

スクワットはコアマッスル(体幹の筋肉)を鍛え、足腰を強くする運動です。壁のコーナーを使って行うと、正しいフォームを身につけられます。

①~③の動きを1度に5回を目安に行いましょう。

 壁のコーナーに立ちます。背筋を伸ばし、足は角から一歩半ほど進めて立ち、ひざと足は壁につけます。手を太ももに置き、お腹に力を入れます。ゆっくりと息を吐いてしゃがみ、吸って立ち上がるようにしましょう。

 壁におしりをつけたままひざを曲げ、ひざとつま先の向きを揃えます。足の中央に身体をのせるようにして、股関節を90度に開きましょう。腰を落とし、足の指の腹で床を押します。おしりに力を入れて締め、ひざを曲げたり伸ばしたりしましょう。

【ポイント】足の人差し指とかかとの中心を結んだ線が、壁と平行になるように気をつけましょう。小指は壁につけたまま、かかとの外側だけ1cmほど壁から離すイメージで。この状態で、ひざと足を同じ方向に曲げて伸ばします。体重は足の裏の中心にかかるようにします。

肩が足全体の上に来るのが正しい位置です。ひざがつま先を超えないようにしながら、太ももとふくらはぎの角度が90度になるまで曲げます。

【NG例】 ひざがつま先より前に出たり、肩が壁についたりするのはNGです。

スクワットは壁のコーナーを利用して行うと、足腰が鍛えられるだけでなく立ち方・歩き方のチェック・矯正にもなって、“一石何鳥”もの効果が期待できます。イラストを参考に一度やってみてください。

ひざが内側に入る癖があるため常にひざに負担がかかって、やがて痛みが出てくるケースは非常によくみられます。ウオーキングをすると足が痛くなるとか、ハイヒールだと歩きにくいというのも、たいていは悪い歩き方の癖が影響しています。

正しいフォームのスクワットを続ければ、たくさん歩いても疲れない、ハイヒールでも颯爽と歩ける美しい姿勢が身につきます。もし40代でスクワットがきついと感じるなら赤信号。しっかり足腰を鍛えてください。肥満傾向にある人も体重を支える筋力をつけるため、ダイエットとあわせてスクワットをするのがおすすめです。

柔軟性=体力  柔らかな身体、心を保ちたい

「3つのS」は、美しい身体の使い方をするのに欠かせない柔軟性の維持・向上のためにも重要です。

よく「年をとったら身体は硬くなる」といいますが、身体が硬くなるのは動かしていないから。身体の硬いネコがいないように、人間も身体を動かしていれば硬くはなりません。筋力や持久力が加齢とともに落ちていくのに対して、柔軟性にはいくつになっても維持・向上しやすいという大きな特徴があるのです。

身体が柔らかいと身体の使い方がスムーズになり、見た目に美しく、運動器のトラブルも起きにくく、また自然と心も柔らかになるものです。柔軟性は健やかな高齢期のカギとなる、体力の大事な一要素。柔軟性を意識したトレーニングを行いましょう。

柔軟性を高めるストレッチや背骨ほぐしの方法は次回ご紹介いたします。

筆者プロフィール

渡會公治(わたらい こうじ)

帝京平成大学大学院健康科学研究科教授
一般社団法人美立健康協会代表理事
整形外科専門医・日本体育協会スポーツドクター
帝京大学医学部整形外科客員教授(スポーツ外来)


1947年、静岡生まれ。1975年東京大学医学部を卒業後、整形外科医としてスポーツ医学を研修。

ロサンゼルス・オリンピックのチームドクターなどの体験を活かし、1988年より東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系身体運動研究室准教授。その後、スポーツ障害の治療法・予防手段を確立し、一流アスリートの競技力向上に努めた。

近年は、運動器障害に苦しむ患者を救う「ロコモ体操」を考案し、東大駒場キャンパス、三宿病院、港区いきいきプラザなどで指導。各方面で「正しい、そして上手なからだの使い方」についての講演、寄稿、啓発活動も展開している。

『美しく立つ―スポーツ医学が教える3つのA』(文光堂)、『新版 いますぐできるロコモ体操』(家の光協会)、『予約の取れないドクターシリーズ ロコトレ』(アスコム)など多数。

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