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【セミナーレポート(下)】 100歳まで楽しく歩こう!今から始める、後悔しないためのカラダづくり

パネルディスカッション:身体運動科学・栄養学の専門家が教える健脚対策

【パネリスト】
重村 泰毅氏
東京家政大学家政学部栄養学科講師

【パネリスト】
渡會 公治氏
帝京平成大学大学院健康科学研究科教授

【パネリスト】
岡崎 朋美氏
元スピードスケート選手

【コーディネーター】
榎戸 教子氏
「日経モーニングプラス」メインキャスター

日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳(※)と世界トップクラスです。しかし、介護などを受けず、自立して生活できる「健康寿命」は約10年短いといわれています。いきいきとした老後を送るためには、自らの健康を自ら維持することが必要です。「100歳まで楽しく歩こう」をテーマに日本経済新聞社様にてセミナーを開催、活力あるカラダづくりの秘訣を探りました。
※出典:厚生労働省「平成27年簡易生命表」

年をとる前の準備が大事/渡會氏 少しの進歩を原動力に/岡崎氏 情報を集め賢い食生活/重村氏

榎戸 渡會先生の著書に「年だから足腰が弱くなるのはしょうがない、は間違いです」という一節がありましたが、これはどういうことでしょう。

渡會 上手に手入れをしていけば、年をとっても足腰の機能を保て元気に過ごせます。つまり年をとる前にきちんと準備をすることが大事ということです。有名なベッドレスト実験というのがありますが、これは若い人に3週間、トイレ以外の時間をずっとベッドの上で安静にさせておいたところ、起き上がることすらままならなくなってしまったという実験です。何もしないでいれば、筋力などが著しく落ちていくのは事実ですが、簡単なチェック法があります。耳たぶを強くつまんで痛みを感じない程度の力で、アキレスけんをつかんでみてください。痛みを感じるようであれば、衰えが進んでいる疑いがあり、スクワットなどのトレーニングがおすすめです。

岡崎 私も現役時代は結構マッチョな体形だったのですが、引退したら筋肉が脂肪に変わってしまいました。また、肩甲骨の辺りは筋肉がなくなってきたら、硬く、重く感じるようになりました。

渡會 現役時代に比べて体を動かさなくなった分、柔軟性が損なわれてきているということでしょう。「年をとると体が硬くなる」とも言いますが、これも間違い。年齢とは関係なく、何もしなければ硬くなるのであって、ストレッチや適度な運動などで柔軟性は維持できます。

榎戸 栄養学の視点から、年をとっても元気を保つ秘訣というのはあるのでしょうか。

重村 結論から言えば、賢く食事をする、ということに尽きます。客観的に自分がどうなりたいか、どうなりたくないか、具体的なイメージを持って、それに対し自分に何が足りないかを考えながら食事をするということです。自分で具体的なイメージを持てないという人は、健康診断を受け、医師や管理栄養士の指導をしっかり聞いてそれを毎日実践するところから始めてはいかがでしょうか。

榎戸 元気に歩き続けるために必要な栄養素というものはありますか。

重村 若いときは肉をたくさん食べていたけど、年をとったら食べなくなったなどとはよく聞きますが、筋肉を作っているのはタンパク質なので、肉類も偏りなく食べる必要があります。また、骨や関節を丈夫にするのにコラーゲンの摂取が有効であるという報告が数多くされています。コラーゲンは動物性タンパク質なので分子サイズが大きくて吸収しにくいのですが、10年ほど前にコラーゲンを細かく分解し、ペプチド状にしたものは血液に吸収され、骨や関節まで届くという実験結果が報告され、効果が知られるようになりました。高齢者の方の筋力が落ちるサルコペニアという症状にもトレーニングとコラーゲンペプチドの併用により効果が出ているという報告もあります。ただコラーゲンは食事で取ろうとするとカロリー過多になる可能性もあるので、サプリメントを上手に活用するのもおすすめです。  

榎戸 最近はロコモティブシンドローム(ロコモ)という言葉もよく耳にするようになりました。

渡會 ロコモは筋肉、骨、関節といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。寝たきりの原因を調べると、1位は脳血管障害でしたが、転倒による骨折や変形性膝関節症などによる足腰の痛みなどがほぼ同程度を占めていました。つまりロコモが進行すると介護を受けねばならない状態になる可能性が高いということです。このロコモを減らし健康寿命を延ばそうという取り組みは、いまや国を挙げての政策となっています。一人ひとりにとっての対策はそんなに難しくありません。効果があるとされているのは、片足立ちとスクワット。これをまず習慣にしていただくと良いと思います。

榎戸 中高年だけでなく若い世代でも、ロコモが心配されていると聞きます。

渡會 「子どもロコモ」というのが注目されています。ボールをうまく投げられない、しゃがむと後ろに転がってしまうなど、4分の1ほどの子どもが該当するのではと危惧されています。現代社会の便利な生活で体力を使わない、体を動かさないことがこの問題を高齢者だけでなく、日本人すべてが関わる問題にしているのです。

榎戸 対策には体を積極的に動かす運動が大切だと思います。でも継続するのはなかなか難しいです。

岡崎 すぐに結果が出ない地道なトレーニングを続けていくのは確かに難しいです。でも、体のここが少し変わったとか、1カ月前にはできなかったことができるようになったとか、自分の体や動きに気を配り、ほんの少しの変化でも感じられるようになれば、毎日のトレーニングもとたんに楽しく思えるようになり、長く続けることができます。

榎戸 最後に皆さんにアドバイスを。

渡會 ロコモに対しては、3つのS、「スクワット」「ストレッチ」「背骨の体操」を心がけてください。デスクワークなどが典型ですが、現在の生活は背骨をあまり動かさない。これを意識して動かしてあげることが重要です。

重村 賢い食生活は正しい情報を集めることから始まります。ネットなどでは簡単に情報が手に入りますが、自分の体が本当に何を必要としているのか見極めが必要です。例えば足腰に不安がある場合はコラーゲンを効率的に摂取するなど、自分の状態に合った選択をしてください。

岡崎 片足立ちやスクワットなどはテレビを見ながらでもできる気軽な運動です。時間がない、忙しいという方でも続けていただけると思うので、本格的に体の衰えを感じる前、今この時から始めましょう。私の周りでも健康な人は「よく食べて、よく噛んで、よく寝て」という人が多いです。基本が大事だということがよくわかります。年をとっても生き生きとした楽しい時間を過ごせるように準備をしたいですね。

「コーナースクワット」にチャレンジ!

スクワットは足腰の多くの筋肉を鍛える「トレーニングの王様」です。自分のフォームを確認し、効果的なスクワットを習得するには、部屋の角などを利用する「コーナースクワット」が最適です。

スクワットのポイント

1. 顔を上げ正面を見る

2. ひざとつま先の向きをそろえる

3. 下腹とおしりに力を入れる

4. 背筋を伸ばす

5. ひざを曲げたとき、ひざがつま先を超えないようにする

ひざを曲げたときに、ひざが内側(女性の方は内またが多いので内側に入りがちです)や外側にぶれるのをグッとこらえて、背筋を伸ばしてゆっくりやってみてください。1セット5~6回を1日数セット、これを2~3週間続けると身体が正しいスクワットを覚えられます(美立健康協会HPより)。

 また、当サイトではロコモ対策・足腰強化を目的としたお子さまからご年配の方まで楽しくできる「100ある体操」をご紹介しています。こちらもあわせてお試しください。

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